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~ある理由~
私は箱のような部屋の中にいます。
壁はただただ真っ白でそれを装飾するものなどはありません。
部屋には小さな窓と出入りするためのドアだけがあります。
窓はちょうど私の顔ほどの大きさです。
そこからは外の様子が見えます。
その様子は私にとって、とても興味深いものであり羨ましいものであります。
高層ビルの職場で夜遅くまで仕事をしている人、
砂場で友達と遊んでいる人、
恋人と手をつないで歩いている人、
色々と本当に様々な様子が見て取れます。
私は気持ちをわくわくさせます。
ある日、私の部屋を誰かがノックしました。
「そんなところにいないで出ておいでよ。」
私はこう答えます。
「ある理由で出られないんだ。」
次の日も私は窓を覗きます。
高層ビルの職場で怒られている人、
友達にいじめられている人、
恋人とけんかをして泣いている人、
私は思います。
「・・・・だからダメなんだ。」
私は考えつく限りのダメな理由を思い浮かべます。
そして自分を高尚な人物に仕立て上げ達観します。
また、私の部屋をノックする人がいます。
私は答えます。
「ある理由で出られないんだ。」
誰かが尋ねます。
「ある理由っていったいなんなのだい。」
私は答えます。
「私にとって体の良いものです。」